ある日突然ではなくて

それは、ある日突然ではなくて、本当に静かに始まっていた。

少し笑わなくなって

人と目を合わせることが億劫になり

できていたはずのことが、少しずつ重たくなっていた。

疲れているだけ。誰にでもあること。

そう思っていたけれど、前とはどこか違っていた。

朝、目覚めた瞬間から

胸の奥に小さなおもりがあるかのように

起き上がるまで時間がかかる。

好きだった音楽が遠く感じ、

好きだった本とドラマに面白さを感じなくなり、

世界はグレー色になっていった。

大きな出来事があったわけじゃない。

それでも少しずつ、気づかないうちに

心のカップはいっぱいになっていた。

ある日、ほんの些細なことで、それは一気に溢れかえってしまった。

涙が止まらず、何が悲しいかも分からず、

呼吸が苦しくなるほど泣いていた。

そして、目の前が真っ暗になった。足元の感覚さえ頼りない。

ただ息をすることだけに必死で、私はその場にしゃがみこんだ。

そしてそのとき、はじめて思った。

もう、頑張れない。

私はようやく、自分が限界に達していると気が付いた。

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